外国人材の活躍・定着に必要な「受け入れ体制」とは?オンラインセミナーを開催しました

 

2026年10月7日、アビリティーセンター株式会社は、高度外国人材を受け入れている企業、または今後受け入れを検討している企業の皆さまを対象に、「高度外国人材 活躍・定着セミナー」をオンラインで開催しました。

テーマは、「採用した後、どう活躍させるか ― 受け入れ体制のつくり方」。

当日は20社を超える企業の担当者にご参加いただき、約90分にわたり、外国人材の活躍・定着に向けた実践的な取り組みを紹介しました。

外国人材の採用が広がる一方、採用した後には「指示がうまく伝わらない」「どのように育成すればよいのか」「日本語教育をどこまで行えばよいのか」「どうすれば長期的な活躍・定着につながるのか」といった、新たな課題も生まれています。

セミナーでは、外国人材と日本企業の間に起きやすい認識の「ズレ」から、育成や面談、日本語教育を仕事やキャリアにつなげる考え方など、明日から職場ですぐに実践できる具体策までお伝えしました。

 

「言った」=「伝わった」とは限らない

前半の講師は、アビリティーセンター グローバル人材採用支援グループの王露です。自身も中国出身で、15年近く日本企業で働いてきた経験を持つ王。当日は、外国人として働いてきた経験と、企業の外国人材採用・定着を支援する立場の両方からお話ししました。

まず取り上げたのが、外国人材との間に起きやすい3つのズレです。

◆言葉・コミュニケーションのズレ
◆思い込み・バイアスのズレ
◆評価・期待のズレ

育ってきた環境や文化、仕事に対する「当たり前」が異なれば、ズレが生じるのは自然なことです。大切なのは、ズレがあることを前提に、確認し、すり合わせることです。

例えば「なるべく早めにお願いします」という指示も、受け取る側には具体的な期限が分かりません。「○○という事情があるので、△月△日までにお願いします」と、目的・理由・期限を言葉にすることで伝わり方は変わります。

 

「外国人だから」という思い込みが、可能性を狭めることも

「まだ日本語も大変そうだから、難しい仕事はもう少し先でいいだろう」。

一見すると本人を気遣った対応ですが、その状態が続くと、本人は「期待されていない」「ここでは成長できない」と感じる可能性があります。

また、仕事がうまくいかない原因を簡単に「日本語力」に結びつけてしまうと、本当の課題を見落とすこともあります。

専門スキルや業務の教え方、役割の明確さなど、複数の観点から課題を捉えることの重要性を伝えました。

 

活躍・定着につながる「4つの仕組み」

セミナーでは、外国人材の活躍・定着を支える仕組みを、

「伝える」「育てる」「相談できる」「成長を見える化する」

の4つに整理して紹介しました。

これらは外国人材のためだけの特別な仕組みではありません。日本人社員の育成でも行っていることの延長線上にあります。

言葉や経験、仕事に対する前提が異なるからこそ、日々の育成やマネジメントを見える化し、丁寧に伝えることがポイントです。

 

日本語教育も「任せたい仕事」から考える

今回のセミナーでは、特別講演ゲストとして、内定ブリッジ株式会社 代表取締役の淺海一郎氏をお迎えしました。

テーマは「日本語教育は『コスト』か『投資』か ― キャリアにつなげる実践論」。

淺海氏は、まず外国語として日本語を学ぶ難しさや、日本語能力試験(JLPT)だけでは実際の会話力や業務遂行に必要な日本語力を十分に把握できないことを説明しました。

そのうえで、日本語研修を効果的に進めるためには、研修の目標設定が重要であり、次の2つのアプローチがあることを紹介しました。

・外国人社員の現在の日本語力を起点に考える方法
・業務内容や将来のキャリアを起点に考える方法

また、日本語研修を外部の教育機関に任せきりにするのではなく、企業側も主体的に関わることの重要性についても説明。社内の研修担当者を決め、現場の上司と目標を共有し、研修中・研修後も学習状況や成果を確認するなど、具体的な進め方を紹介しました。

さらに、製造業などの企業事例を通じて、日本語学習が本人の自信や職場でのコミュニケーションの改善につながること、外国人社員の学ぶ姿勢が日本人社員にも良い刺激を与えることなど、日本語研修がもたらす効果についても紹介されました。

日本語研修を単なる語学学習で終わらせず、本人の成長や仕事での活躍につなげていくこと。 そのための目標設定と、企業が主体的に関わる研修設計の重要性を学ぶ機会となりました。

 

明日からできる3つの具体策

セミナー後半では、これまでの内容を実際の職場でどう実践するかについて、3つの具体策を紹介しました。

1.業務・育成を見える化する

まず「1年後、この人に何を任せたいか」を考え、そこから必要な専門スキルや日本語力、育成方法を逆算して整理します。「任せたい仕事」を起点に、到達目標、現在との差、育成方法を明確にすることで、本人も目指す方向が分かり、上司も成長を確認しやすくなります。

2.分かりやすく、目的・背景まで伝える

例えば、仕事を説明した後に「分かりましたか?」と聞くだけでは、意図どおり伝わったかを十分に確認できません。「今から何をするか、一度説明してもらえますか?」と本人の言葉で説明してもらうことで、理解のズレに気づきやすくなります。

また、写真やメモを活用することに加え、手順だけでなく「なぜこの仕事をするのか」「どこまで自分で判断してよいのか」まで伝えることが大切です。

3.定期的に対話する

面談は、問題が起きたときだけ行うものではありません。入社直後は仕事や生活への適応状況をこまめに確認し、その後は本人の成長、任せる仕事の広がり、今後のキャリアについて継続的に話し合うことが重要です。

こうした対話を通じて、本人と会社の期待をすり合わせ、育成目標を見直していくことが、長期的な活躍・定着につながります。

 

外国人材の受け入れが、職場全体を見直すきっかけにも

セミナー終了後の意見交換では、参加企業から、「今回の内容は外国人材だけでなく、日本人社員の育成や定着にも当てはまるのではないか」という声も聞かれました。

外国人材を受け入れることで、これまで「当たり前」としていた仕事の進め方や指示の出し方、育成・評価の仕組みを見直す機会にもなります。

すべてを一度に変える必要はありません。「任せたい仕事を明確にする」「次の指示ではメモを1枚添えてみる」「本人の言葉で確認してみる」など、できることから始めることが、外国人材の活躍・定着につながります。

外国人材のための「特別対応」ではなく、誰にとっても分かりやすく、成長しやすい職場づくりを進めることが、活躍・定着への第一歩になります。

 


 

アビリティーセンターでは、高度外国人材の採用支援だけにとどまらず、入社後の育成・定着まで、企業の状況に応じた支援を行っています。

高度外国人材の採用や受け入れ体制、育成・定着についてお悩みの企業さまは、お気軽にご相談ください。

お問い合わせ先
アビリティーセンター株式会社
グローバル人材採用支援グループ

お問合せ