2006.10.11
お地蔵様
ヤマセツの自己研鑽
☆ 母の小さな手 ☆
先週末、久しぶりに84歳になる母に会いました。
母は関東地方の老人介護施設にいます。
『重度のアルツハイマー』
こんな表現でいいのでしょうか?
残念ながら、娘の私のことも・・・
もう分からなくなってしまいました。
約一年前に会いに行った時は、
まだ「せっちゃん!」と、声をかけてくれました。
今回は三人兄妹の一番上の兄と一緒の訪問でした。
施設の近くに住む兄夫婦は、良く母の面倒を見てくれています。
そして施設に入所するまでの約10年間・・・
下の兄夫婦がずっと母の世話をしてくれました。
親子だから当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが
実の娘ではない、二人の兄嫁達には本当に頭が下がります。
施設に母を訪ねて行ったのは、午後の”遊び”の時間でした。
重度の痴呆の方ばかりのフロアーのロビーに
・車椅子に乗った人
・一人で歩ける人
・簡易ベッドに横たわる人等、
20名くらいの人が、ソファに腰掛け
介護士さんとボール投げをして遊んでいました。
母は一番隅の椅子にチョコンと座り、一人だけ
うつらうつらと、お昼寝をしていました。
その姿は、まるで『お地蔵様』のようでした。
すぐ傍まで行き
「おかぁさん」と声をかけました。
でも、すぐには目を開けてくれませんでした。
兄が手馴れた様子で、母の耳元に口を当て
「美恵子さん」と、母の名前を呼びました。
すると、母はうっすら目を開け、こちらをチラッと見ました。
しかし、母の目はずっとずっと遠くを見ていました。
「おかぁさん、私。私よ。節子よ。こっちを見て」と、
心の中で叫びました。
たまらず、母の手を握りました。
「おかぁさん、元気?元気だよね。お顔がつるつるしてるもの。」
視線の合わない母の両手を取り、上下に振りながら
「おかぁさん。覚えてる?昔、こうやってタイプしてたでしょ。」
母は、ずっと長い間、仕事で邦文タイプを打っていました。
「ガチャ・ガチャ・ガチャ・・・だよね。今でも出来るよね。」
母がやっと、私の顔をじっと見つめてくれました。
きっと、何かを思い出したのかもしれません。
■ 仕事の大好きだった母。
■ 若い頃、タイピストだったことが自慢だった母。
■ 近所の誰よりも早く、車の免許を取り
スバル360に乗って役所回りをしていた母。
私たち兄妹は、そんな母がいつも自慢でした。
母の小さくなった手に重ねた自分の手を見つめているうちに
一筋、涙がこぼれました。
「兄さん。いつの間にか、おかぁさんの手と私の手、おんなじになったよ。」
兄も二人の手をじっと見ていました。
おかぁさんは、この手で私たちを育ててくれたんだよね。
わがままで、自分勝手な私を
いつも、優しく見守ってくれたんだよね。
おかぁさん、
誰よりも優しく、愛情深く、育ててくれて、ありがとう。
そして、親身になってお世話をしてくれる
二人のお姉さん達に、感謝! ♪
2006.10.11 PM10:43




